『姦られる』
館 淳一著
マドンナ社発行/二見書房発売 マドンナメイト
渋谷恭介を女装趣味にひきこむ潜在的なきっかけとなったのは、彼の姉、知子の下着であった。
恭介は東北のある小都市で生まれた。
幼いときから病弱だった彼は、体格も小柄で華奢で、おとなしい内向的な性格に育った。
姉の知子は三歳年上で、恭介とは正反対にのびのびと育ち、性格も陽気で外向的、いつも周囲の人気者だった。陰気な雰囲気を漂わせ、友人もほとんどできない弟は、そんな姉のハツラツとした姿をいつも眩しく眺めていた。
弟が中学一年、姉が高校一年のときに、恭介は倒錯的な形ではじめての射精を体験した。
ある初夏の日のことだ。恭介が学校から帰ると、すれちがいに姉がとび出していった。友人とプールへ行くのだという。ショートパンツ姿に着換えて自転車にとびのったときの太腿のつややかさが、早熟な少年の網膜に鮮烈に灼きついた。
自分の部屋に入っても、なぜか恭介は胸苦しいような思いにとらわれ、宿題も読書も身に入らなかった。
やがて思いきって姉の部屋に忍びこんだ。すれちがったときに姉が発散した処女の酸っぱいような体臭にひかれたせいだろう。
むっとするような年ごろの少女の匂いがこもる知子の部屋で、恭介はベッドの上に脱ぎ散らかされた姉の制服と下着を見つけた。大あわてで着換えたのだろう。汚れたパンティまでそのまま放り投げられていた。
恭介の小柄な体の奥から熱い欲情が湧きおこったのはそのときだ。
汚れたパンティと、汗の匂いのこもったスリップを手にして恭介は自分の部屋に戻った。さいわいに両親も外出していて家には彼ひとりだ。
胸はドキドキと早鐘をうち、白い布片を持った手はブルブル震え、喉はカラカラだった。恭介は素ッ裸になり、姉のパンティをとりあげ、性器のあたる部分をひろげて鼻を押しあてた。尿の匂いと発育ざかりの処女特有の濃厚な酸っぱい分泌物の匂いが少年を陶然とさせた。彼は幼いながらも激しく勃起している。
やがて恭介は姉のパンティを素肌にはいてみた。それは快い感触で彼の腰を包みこんだ。そっと彼は自分の裸身を鏡に写してみた。
鏡のなかにいたのは、男とも女ともつかぬ細やかな体をした生き物だった。その腰を包む白い布片の中央部がはちきれんばかりに盛り上がっている。
恭介は腰をうちゆすった。無意識の行為だ。柔らかな肌着との摩擦が敏感な肉に堪えがたい快美な刺激を与え、ひと声呻いて少年は身を震わせて射精した・・。
知子は高校を卒業すると東京の女子大に通学した。それまでの三年近く、恭介は機会あるごとに姉の下着を盗んでは、それを自分の精液で汚した。汚しつつ、知子の健康美あふれる肉体を犯す妄想に耽ったものだ。
少年時代のこの倒錯的な自慰習慣が、恭介の性的志向を女装趣味へ押しやった最大の原因だろう。
これは、わたしが大好きな館淳一先生の「姦られる」という短編小説の一節。
女装の始まりは、私もそう…
パンティを穿いて戦慄が走って…
激しくオナニー…
ブラをつけて、パットをいれて…
スリップをつけて…
もう、そうなると、スカートも穿きたくなるでしょ!
そして、ブラウス!
ハイヒール!
そして、女装外出したくなって…
お化粧を覚えて…
はじめての女装外出…
ちなみに、わたしは女装者で、「男の娘」ではないの…
なぜなら、男が女性の下着を身につけ、スカートを穿いて、ハイヒールを履く…
この背徳的な行為が「男の娘」にはないから…
わたしは、女装した自身の姿を鏡に映して…
「わたしは、男なのに、女の子の下着をつけて、短いスカートにハイヒールを履くのが大好きな変態女装者です…」
女装を始めた頃は…
そんな蔑みの言葉を口に出して、小さなショーツからはみ出した大きなクリチ〇ボを手淫していた人なので…